相変わらず、体調は悪い。よくなれ〜、よくなれ〜、と祈りながら毎晩早めに寝るが、基本的に同じ気分のまま翌朝も目覚める。
 それでも、いいことは起きていて、それを忘れたくないなと思うので、どんなにきちんと書けなくて、つたない記録になろうとも、この日記を再開して、毎日のことを残しておきたいと思った。おもに、何を観たか。くりかえしになるが、観てどう思ったかは「きちんと」書けなくてよしとする。さっきツイッターで「言語的貧困は感覚的貧困につながる」というフレーズを見て私のことじゃん……としょんぼりしてしまったが、いまはどんなに貧困でも、よしとする。かわいかった、おもしろかった、すばらしかった、かっこよかった、すてきだった、楽しかった、上等。
 少し日をさかのぼりながら。
 11月3日(火)Zepp Fukuokaくるりのライブを観る。「NOW AND THEN vol.2」。「TEAM ROCK」「THE WORLD IS MINE」の再現ライブのつもりで行ったが、完全再現ではなかった。すばらしかった。二階席というのはいいなと思う。作法を知らなくて、始まるまで、立つのかな……と思っていたが、終わりまで立つことはなかった。私のちょうどまっすぐ前に岸田繁が立って、一年前に同じ場所で見た姿とはまったく別人のように感じるくらい、うれしそうにニコニコしたり、ピョンピョン飛び跳ねたりしながらギターを弾いて、歌っていた。キーボードも弾いていた。涙が止まらなくなるときが何度もあって、そのたび、私はなんで泣いてるんだろうなあと考えて、私は私の青春のために泣いてるんだろうなあと納得した。私の、大好きだった先生の、「ぼくもくるりと同じ京都の出身ですよ」という言葉を思い出した。「くるりは好きですよ」「くるりも電車が好きなんですよ」電車はくるり全体が好きなんではなくて、岸田繁が好きなんだそうですよ、先生。こういう具体的な言葉を思い出すのは本当に久しぶりで、芋づるのようにいろいろなことを思い出す。その部屋の感じ、地下鉄や旅行の感じ、あのころの何もかもの感じ。Zepp Fukuokaは来年のはじめくらいに閉鎖になるそうだ。ここは十年以上前に私が初めてくるりを観た場所で、それから何度も来ているけれど、いまだに正式な表記の仕方がわからない。
 11月8日(日)県立芸術劇場でモーツァルト歌劇「フィガロの結婚〜庭師は見た!〜新演出」を観る。井上道義野田英樹の演出。オペラは3月に観た「蝶々夫人」以来。舞台が生きていると思った。動いて、もそもそと、増えたり減ったり、膨らんだりへこんだりしていた。訳がすばらしいなと思うのと、身体をたくさん使った役者のあっちに行ったりこっちに来たりが愉快だった。
 私の原稿はいっこうにすすまない。しめきりは迫る。きっと書ける、と思うが、苦しい。
 帰宅したら想田監督の「精神」が届いていた。アマゾンは私と違って仕事が早い。原稿をしないといけないが、観たい。